Researches
近年、森林を取り巻く環境は大きく変化しています。大気の二酸化炭素濃度の上昇とそれに伴う温暖化などその影響は地球規模で生じ、都市から離れた森林にもその影響は及んでいます。これらに関わる森林生態系の基盤的機構である物質循環を解明し、災害・攪乱に強い持続可能な森林生態系管理に生かすことは、本研究室の重要な課題のひとつです。そのために、気候や地形などの環境要因に応じて成立する森林とその遷移、水や炭素の循環などをシミュレーションした生態系や気候の将来予測研究、そして多地点・長期の野外データを統一的に解析して樹木の生態、森林の物質生産や種多様性が決まるメカニズムに関し、普遍性および地域固有性を明らかにしようとしています。さらに、森と隣接する渓流生態系では生物間相互作用を精査することで、多種共存や群集・生態系機能の安定維持に関わるメカニズムの解明を目指しています。
また、人工林を含む森林の維持管理と森林資源の有効な利用方法、さらには今後数十年を見据えた森づくりに関わる問題も重要なテーマの一つです。里山や人工林における各種の森林施業や管理と路網などの基盤整備を、いかに経済的、環境的、社会的に持続的な形態で行うかについての研究も行っています。
博士論文
2010年 |
Factors and mechanisms that change soil organic carbon stocks and
dynamics after afforestation in a Japanese coniferous
plantation 日本の針葉樹人工林における人工林設定後の土壌有機炭素量及び動態に変化を及ぼす要因・機構 |
新井 宏受 |
2009年 |
Reproductive ecology of the congeneric dioecious trees, Rhus
javanica and R. trichocarpa 雌雄異株性の同属樹木(ヌルデ、ヤマウルシ)における繁殖生態学的研究 |
松山 周平 |
2009年 |
Seasonal variation in nitrate uptake and assimilation properties
of evergreen and deciduous plant species in temperate forest
ecosystems including winter 温帯林における常緑ならびに落葉植物の硝酸態窒素利用の冬季も含めた季節性 |
上田 実希 |
2009年 | マツ枯れ低質林におけるアカマツ更新の初期段階の管理方法 -古都・京都のアカマツ林景観の回復について- | 呉 初平 |
2008年 |
Process and Mechanism of Change in Nitrogen Cycling during a
Forest Development after Clear-cut in Japanese Cedar
Plantations スギ人工林の皆伐および植栽後の成立にともなう窒素循環の変化とそのメカニズム |
福島 慶太郎 |
2004年 |
Teak (Tectona grandis Linn.f.) and food crop production under
agroforestry management in moist deciduous forests of Eastern Java
in Indonesia インドネシア、東ジャワにおける湿潤落葉樹林でのアグロフォレストリーチーク林のチーク材と畑作物生産 |
Ris HADI PURWANTO |
2002年 | Maintenance mechanisms of the community structure of tree species along a sloping topography in a cool-temperate conifer-hardwood forest in the snowy region of Japan | 平山 貴美子 |
2000年 |
Regeneration processes and coexistence mechanisms of Abies firma
and Tsuga sieboldii in a mixed forest, central Japan 日本中部のモミ・ツガ混交林におけるモミ・ツガの更新過程と共存機構 |
Gregorio Angeles-Perez |
修士論文
2024年 | ドローンを用いたSfM解析による広葉樹形状の評価 | 坪田 和也 |
2024年 | 固相分光光度法による全国渓流水のリン酸濃度に関する研究 | Kong Qixian |
2023年 | Evaluating the Potencial of UAV Structure-from-Motion for Generating Forest Degital Twin to Derive Forest Inventory Data | Azwar Azmillah Sujaswara |
2023年 | 森林内でのGNSS利用におけるマルチパスの発生状況および、フィルタリングによる測位精度の変化 | 兼元 大誠 |
2019年 | ドローンとディープラーニングを用いた樹種の識別 | 大西 信徳 |
2016年 | 食文化と森の関係性の理解は森林保全意識の向上につながるか | 三吉 章雄 |
2016年 | データ同化が明らかにする、日本広域における展葉・落葉フェノロジーと気温の詳細な関係 | 池田 成貴 |
2016年 | 森林生態系からの窒素流出要因の検討ー安定同位体比など広域渓流水データを用いてー | 松浦 真奈 |
2015年 | 大径材搬出における素材生産作業システムの選択 | 渡邊 優美 |
2015年 | 林相が水棲底生動物群集に及ぼす影響:水棲底生動物群集の種多様度指数からみた渓畔林に関する考察 | 田宮 優大 |
2015年 | ヒノキ林土壌における真菌、細菌バイオマスと窒素動態の季節的変動の関係 | 横部 智浩 |
2014年 | 窒素負荷量が異なる森林間における土性と窒素・炭素保持との関係 | 落合 夏人 |
2014年 | シカによる強度採食圧下において不嗜好性シダが植生回復に与える影響について | 市村 晃 |
2013年 | 流域土地利用が腐食物質ー鉄錯体の結合特性に与える影響 | 日高 渉 |
2013年 | 富山県において窒素飽和・非飽和状態下にある落葉広葉樹林間の窒素動態の比較 | 牧野 奏佳香 |
2012年 | 素材生産作業システムの選択モデルの構築 | 八木 弥生 |
2012年 | 由良川流域における森林と農地からの栄養塩負荷の時空間的影響 | 池山 祐司 |
2011年 | シカによる過採食が集水域における下層植生の現在量および窒素吸収に与える影響 | 岩井 有加 |
2011年 | シカによる下層植生の過採食が降雨出水時の渓流水質に与える影響 | 橋本 智之 |
2010年 | ササの開花・枯死が森林生態系の窒素動態に及ぼす影響 | 阿方 智子 |
2010年 | 作業道における運搬車の走行負荷の評価 | 福井 遼 |
2010年 | ヒノキ林土壌における無機態窒素の形態変化-総速度の季節変動とその制御要因- | 米田 聡美 |
2009年 | 京都・東山のシイ林における伐採後の初期更新 | 中村 真介 |
2009年 | 滋賀県におけるハタネズミの生息地特性解析 | 松浦 宜弘 |
2008年 | 履歴の異なる焼畑休閑林でのタケ類メロカンナ・バクシフェラの一斉開花後更新初期過程 | 池田 邦彦 |
2008年 | ブナを利用するキクイムシ類の群集生態学的研究 | 飯塚 弘明 |
2008年 | 一斉開花年の異なるチュウゴクザサ個体群の集団構造 | 齊藤 誠子 |
卒業論文
2016年 | UAVによる空撮画像を用いた秋季フェノロジーの観測 | 大西 信徳 |
2015年 | 植生、土壌タイプ、窒素負荷程度が異なる森林土壌の窒素・リン動態 | 柏木孝太 |
2015年 | 森林施業プランナーがフォレスターに期待する業務とプランナーの属性の関係 | 齋藤英梨子 |
2014年 | 総炭素蓄積量を最大化する森林施業についてのシミュレーションを用いた考察 | 池田 成貴 |
2014年 | 渓流水中硝酸濃度とその安定同位体比からみた近畿地方における窒素飽和の現状 | 松浦 真奈 |
2013年 | ズギ人工林における間伐区集水域と未間伐区集水域の水棲底生動物群集の差異 | 田宮 優大 |
2013年 | 天然林ヒノキ林における間伐と下層除去が回復植生と更新に及ぼす影響 | 神保 大樹 |
2012年 | 窒素負荷量が異なる森林間における土性と窒素・炭素保持の関係 | 落合 夏人 |
2011年 | アラカシの硝酸還元に伴う根呼吸の定量 | 日高 渉 |
2011年 | 暖温帯二次林におけるコナラの個体レベルの窒素動態 | 牧野 奏佳香 |
2011年 |
東日本大震災・被災地における森林資源の実態と資源利用の可能性 ~宮城県気仙沼市唐桑町舞根をモデルとして~ |
森田 玲 |
2010年 | マルチシートの敷設による下刈作業代替の可能性 | 池山 祐司 |
2011年 | 林業・木材利用に関する消費者・林業関係者への意識調査 | 小森 由衣 |
2009年 | 路網開設コストを考慮した素材生産作業システムの選択 | 市川 隆史 |
2009年 | スギ・ヒノキコンテナ苗の形態的特徴と植栽後の成長 | 岩井 有加 |
2008年 | 土地利用と地質が有田川水系の水質に与える影響 | 白濱 圭通 |